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いつうら便り/イベント情報

お知らせ
2026.07.27

天心記念五浦美術館だより【8/4(火)~8/15(土) 高円宮妃久子殿下 根付コレクションと写真展 「旅する根付」ー『茶の本』120年目の夏に】

 根付は、印籠や煙草入れなどの小物を腰から下げるための留め具です。着物の帯に自由に脱着できるように工夫され、江戸時代の日本で独自の発達をしました。しかし明治維新後、洋装が普及すると実用品としての需要は激減します。一方、海外では、美術品としての価値が高く評価され、多くの根付が博物館や個人によってコレクションされました。
 高円宮妃久子殿下は、1970年代に英国で学生生活を送る中でそのようなコレクションに接し、根付の蒐集を始められました。そして1984年、高円宮憲仁親王殿下とのご結婚に際し、久子殿下が受け取られた最初のプレゼントは根付でした。憲仁親王殿下が根付の美に共感されたためです。根付は、高円宮家のご家族の絆を結ぶ大切な存在となります。2002年、憲仁親王殿下が薨去されるまで蒐集された根付500点は、現在、東京国立博物館高円宮コレクション室で展示され、世界でも有数の根付コレクションとして人気を博しています。

 本展では、高円宮妃久子殿下の手元に残された根付と現在も続けられているコレクションから、選び抜いた根付約200点と憲仁親王殿下の遺愛のカメラで写真家としてスタートされた久子殿下による写真約40点を展示いたします。ご公務や私的な旅の合間に、根付を風景の中に配して撮影された写真は、作品への深い理解と愛情があふれ、根付の魅力を倍加させてくれます。
 そこからは、岡倉天心『茶の本』のキーワードである「同情(sympathy)」を深く感じることができます。出版されてちょうど120年目となる『茶の本』で、天心は「美術鑑賞に必要なのは、魂と魂が交換し合う場ですが、それは、お互いに譲り認め合うことから始めなければなりません」と述べています。この言葉は、今日の世界の状況下でこそ生きてくるのではないでしょうか。本展が、根付とその写真の魅力的な世界を通して、『茶の本』の理念を再確認する機会となれば幸いです。